「相続の重要性:親の居住権保護と相続分の適切な確保」
母親が一人で実家に残る場合、相続について慎重に考える必要があります。例えば、父(80歳)、母(78歲)、長女(52歳)、次女(51歳)と母親は別世帯で実家で暮らしていました。財産は現金2000万円と実家の土地建物(評価5500万円)です。
父の亡くなり相続が発生。母親の実家暮らしは不安で、長女夫婦が母親の面倒を見るために同居を決めました。しかしこの決定に伴う相続の問題が起こりました。遺言もなく、財産分与が難航していました。
市の無料相談で民法の変更や配偶者居住権についての説明を受け、財産分与の指南も受けました。従来の法定相続では、母(2分の1)、長女(4分の1)、次女(4分の1)で分与され、金額では母3750万円、長女・次女各1875万円となりました。しかし、母親の相続分では自宅を相続できず、自宅の売却や現金相続での生活費の問題が生じました。このため、争族が多発し、私も巻き込まれることとなりました。
配偶者居住権を利用すると、状況はどう変わるのでしょうか? 母は自宅の5500万円のうち住む権利分を相続します。配偶者居住権で1950万円相続し、現金の2000万円のうち1800万円を相続することで、将来の生活に問題がなくなりました。長女と次女はそれぞれ100万円ずつ相続し、残りの1775万円を自宅所有権として相続しました。これにより、母親の亡くなった場合、自宅の所有権が長女と次女に相続され、二次相続時の財産として扱われず、現金も1800万円残っており相続税も発生しません。
ただし、配偶者居住権付きの自宅の売却は実際には難しく、売却しない対策が必要です。長女が施設に入れない等の事情がある場合、遺言の残し方も重要です。最近の法改正による不動産売買の事例を解説しましたが、今後も相続税に関する法改正は予測不能です。認知症などの対策も大切です。専門家に相談して適切な相続対策を検討することをおすすめします。