被相続人の3000万円控除が使えないケースと注意点

平成28(2016)年から導入された「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」制度は、相続で空き家になった住宅を売却する際に、特定の条件を満たすことで、売却に伴う譲渡所得から最大3000万円の控除が受けられる仕組みです。平成31(2019)年の法改正により、自宅から老人ホームなどに入居した場合でも一定の条件を満たせば、3000万円の控除が認められました。

以下は、控除が使えるケースと使えないケースの具体例です。

使えるケース:

2020年末、母(88歳)が施設で亡くなり、相続が発生。父から母に名義が変更された自宅の土地建物(評価額2500万円)を、長男(58歳)と長女(55歳)がそれぞれ2分の1ずつ相続。建物が築100年経過しており、特例を利用して建物を解体し、更地にして第三者へ引き渡すことで、円満な相続とともに3000万円の控除を受けることができました。

特別控除が受けられないケース:

別のケースでは、父が亡くなった後、母が一人で自宅に住んでいました。しかし、相続登記が行われておらず、数年後に母が施設に入所することになりました。急いで相続登記手続きを進めるも、手続きが追いつかず、母が手続きできないため、結局長男が自宅を相続。この結果、3000万円の控除が受けられず、譲渡税を支払うことになりました。相続登記は期日内に行うことが肝要であり、適切なアドバイスを受けるためには行政書士や税理士、司法書士などの専門家に相談することが重要です。