住み替え時の高値売却
住み替え時の高値売却は意外にも難しいものです。買い先行か売り先行か、どちらが良いのでしょうか?
「子供が生まれて手狭になったから、もっと広い家に引っ越したい」「最新設備の整ったマンションに住み替えたい」など、住み替えを考える人もいらっしゃることでしょう。
現在の家を売却して新しい家を買うだけなので、難しくはないと感じるかもしれませんが、実際には住み替えは思ったよりも難しいプロセスとなります。住み替えの際、現在の家の住宅ローンが残っていることが一般的であり、新たに買う家も住宅ローンで購入するケースが多く、資金計画の策定が難しくなります。
一時的に2つの住宅ローンを組むことは可能ですが、毎月の返済負担が大きくなり、それによって年収や融資可能額も制約を受ける可能性があります。一部の銀行では、現在の自宅を売却する予定がある場合、現行のローンの残高を考慮して新たなローンを組むこともありますが、金利条件が必ずしも有利であるとは限りません。
現実的には、現在の自宅の売却後に元の住宅ローンを返済し、その後に住み替え先の住宅ローンを組み直すか、元の住宅ローンの返済と住み替え先の住宅ローンの契約を同時に行うことが一般的です。しかし、このプロセスで新しい家を見つけたり、購入条件が整う前に現在の家を売却する必要が生じ、価格の妥協を余儀なくされるケースも多いのが現実です。
新しい家の契約時に「〇ヵ月以内に現在の自宅が希望額で売却された場合にはこの物件の売買契約を履行するが、売却が成立しない場合は契約を白紙にする」といった買換え特約を付けることもできますが、そのような条件を認めてくれる売り主は限られています。したがって、新しい家の探しと売却を同時進行させると、希望価格での売却が難しくなる可能性があります。
一方で、売り先行で販売活動を行い、売却が決まったら迅速に新しい家を見つけるケースもあります。しかし、通常は売買契約から自宅引き渡しまでには最大で3カ月の猶予しかありません。現在の住まいが売れれば、迅速に新しい家を見つけ、引っ越しの態勢を整える必要があります。
新居を購入するエリアに物件が充実している場合は問題ありませんが、流通が少ないエリアでは新居が見つからない可能性があります。その際は条件に妥協するか、引き渡しまでに間に合わず急遽仮住まいを確保することも検討する必要があります。
納得のいく住み替えを実現するには、売りも買いも妥協しないことが原則ですが、一挙両得は難しい現実もあります。仮住まいをすることで現在の家を空にすることができ、購入希望者にとって内覧しやすく好印象を与える効果も期待できます。ただし、仮住まいには費用と手間がかかりますので、売却の可能性や見込み価格を事前に確認しておくことが重要です。最終的には、数百万円も損をするよりも、慎重な販売活動を行って満足のいく結果を得る方が望ましいかもしれません。