節税・税務調査対策・無駄遣い防止! "一石三鳥"ノウハウの落とし穴
矛盾するお気持ちの解消法: 生前贈与と生命保険の活用
多くの方が抱える「生前贈与はしたいけれど、お金を今すぐ子供や孫に渡したくない」という矛盾した感情。このジレンマを解消するために、生前贈与でもらったお金を生命保険に活用する方法があります。
例えば、祖父が孫に110万円の贈与を検討しているとします。孫はまだ30歳と若いので、大金を持たせるのは教育上よくありません。そこで、祖父は知り合いの保険会社に相談し、孫に「これから毎年110万円を生前贈与するから、おじいちゃんが用意したこの生命保険に加入し、贈与したお金から毎月9万円の保険料(年間108万円)を払い続けなさい」と伝えます。
孫の使い込みを防ぐ"一石三鳥"の対策
この方法であれば、孫がお金を使った実績を残すことができ、かつ、孫の使い込みも防止できます。節税と税務調査対策と無駄遣い防止の「一石三鳥の対策」としておすすめです。
ちなみに、保険料の設定は自由で、贈与でもらったお金の全額を保険料に充てなくてもOKです。保険のタイプは掛け捨てではなく、将来、支払った保険料よりも大きく増えて戻ってくるものがおすすめです。
対策の陥りやすい落とし穴
しかし、この対策も近年、形だけを真似する方が増え、トラブルが散見されるようになりました。具体的には、子や孫に生命保険の契約書にサインだけさせて、実際の保険料の支払いは親や祖父母が保険会社へ直接、子や孫の代わりに行っているケースです。
この対策は祖父母(父母)から孫(子)にきちんと生前贈与ができており、孫(子)が自分の意思で保険料を払うことで成立します。一方で、祖父母(父母)と孫(子)の間で生前贈与ができていたように見せかけ、祖父母(父母)が孫(子)が孫(子)の保険料を負担していたなら、それは大問題です。
名義保険が引き起こす問題
名義保険が発生するパターンは、だいたい決まっています。このような事態を避けるためには、生前贈与を行う際には通帳・印鑑・キャッシュカードを贈与する相手方にきちんと管理させる必要があります。調査官から疑いの目を向けられないようにするためには、実際に使っている記録を残しておくことが最も有力です。贈与でもらったお金は貯めるのではなく、積極的に使っていくことをオススメします。