2億円のマンションが2000万円!? タワマン節税のしくみ
六本木などのお金持ちが好むエリアのタワーマンションと、田舎の山奥のタワーマンション。これらが同じ材料と施工方法で建てられた場合、固定資産税評価額(租税評価額)は同一です。しかし、実際の売買価格(時価)が圧倒的に異なるため、時価と固定資産税評価額の間に大きな差が生じます。この仕組みを利用したものが、タワーマンション節税と呼ばれるものです。2億円で取引されているマンションの固定資産税評価額が2000万円程度になる例も少なくありません。固定資産税評価額は、建物の材料や施工方法による加点方式で評価されるため、その物件の人気やプレミアム(希少性)が評価に反映されないのです。
合法なのか? 違法なのか?
このようなタワーマンションの性質を利用すれば、相続税を劇的に減らすことが可能ですが、国税庁から過度な節税としてマークされることもあるため、注意が必要です。2017年にタワーマンションにかかる固定資産税の課税方法が改正されましたが、この改正は固定資産税に関するものであり、相続税の評価方法に変更はありません。従って、現在も相続税のタワーマンション節税は可能です。
注意が必要なポイント
ただし、過度な相続税節税が露骨すぎる場合、税務調査で不動産鑑定士が算出した価格で相続税を計算しなければならない状況になる可能性があります。
リスクについて
不動産は時価と評価額に大きな差があるため、預金を不動産に変えることで相続税対策となることは確かです。しかし、私はこの手法をあまりおすすめしていません。なぜなら、節税額を上回るほどの資産価値の低下があった場合、トータルで損をする可能性があるからです。例えば1億円の不動産を購入し、1000万円の節税ができたとしても、将来その不動産が8000万円でしか売却できなかった場合、結果としてトータルで1000万円の損失が生じます。不動産投資にはさまざまなメリットとデメリットが存在し、購入価格の適正性や将来の資産価値などを考慮する必要があります。
最後に
不動産投資の知識や経験がない方が、安易に相続税の節税目的で不動産投資を行うことは危険です。確かに不動産を購入すれば相続税が節税できますが、その過程でリスクを十分に考慮することが重要です。将来的な資産価値の推測や不動産市場の動向を理解することが不可欠です。節税目的だけでなく、不動産投資の全体像を見据えた上で行動することが望ましいですね。