相続と不動産:問題解決への道

多くの人にとって、相続において主要な財産は不動産であり、問題解決の鍵を握っています。ここ10年で相続にまつわる状況やシステムは大きく変わっています。高齢者の割合が急増し、65歳以上の人口が約17年前に比べて25%から30%近くに増えている現在、相続はますます身近な問題となっています。

平成27年(2015年)に相続税法が大幅に変更され、約10年ぶりに民法(相続法)も改正され、配偶者居住権などの制度が導入されました。これに伴い、相続に関する法律や仕組みも大きく変わりました。

近年の事例をもとに、相続に関連する不動産取引について掘り下げてみましょう。


相続後の不動産売却ケース

​遺産分割前の不動産査定の重要性

父(35歳)母(既に他界)長女(55歳)次女(55歳)長男(50歳)の家族構成で、父の面倒は長女が見ていた。父と長女、長男が住む実家には自宅の土地建物と他の2つの土地があった。

実家の屋根や外壁の修繕工事が必要で、兄弟3人は話し合った結果、実家の土地建物を長女が相続し、他の2つの土地を売却して3人で均等に分けることに決めた。その後、長女は売却した土地の収益を実家の改修工事費に充てることを計画した。

最初の見積もりでは、自宅の土地建物が3000万円、土地①が2500万円、土地②が800万円で、改修工事費が1100万円だった。それに基づいて長女が1900万円(不動産)を、長男と次女が1100万円(現金)を受け取ると予想されていた。

しかし、後に調査したところ、土地②は利用用途が限られ、さらに地中に埋設物があることが判明し、売却できない土地だったことがわかった。

結果としては、

  • 自宅の土地建物:3000万円
  • 土地①:2500万円
  • 土地②:0円
  • 改修工事費:1100万円

となり、長女に比べて長男と次女の財産が少なくなってしまいました。


事前の調査の重要性

不動産の売却時に不動産が売れるか売れないかを事前にきちんと調べることが重要です。遺産分割協議書を作成する前に、法務局へ行って登記事項要約書を取得することをおすすめします。そうすると、ほとんどの場合、土地の用途が分かります。もし畑や山林などの記載がある場合は、その土地に家が建てられていても官公庁へ調査を依頼することが望ましいです。自治体には不動産の無料相談を行っているところもあります。査定はできませんが、土地の利用可能性などについてアドバイスを受けることができます。

専門家による調査を行うことで、適切な評価額が把握され、円満な相続が実現される可能性が高まります。