遺言が必要なケースは?

遺言を作成するべき理由は様々ですが、特に以下のケースでは遺言の作成が重要とされます。これらのケースについて詳しく見ていきましょう。

① 子供のいない夫婦

夫婦に子供がおらず、直系尊属である父母などもいない場合、夫が亡くなった場合、妻は相続分として全財産の3/4を受け取り、残りの1/4が兄弟姉妹に分配されます。しかし、遺言があれば、妻が全財産を相続することが可能です。これにより、紛争を避け、遺産分配をスムーズに行うことができます。

② 再婚した夫婦で前妻の子供がいる場合

再婚した夫婦で前妻との間に子供がいる場合、前妻の子供と後妻は相続権がそれぞれ1/2ずつとなります。この状況では、遺産分割での争いが生じる可能性があります。感情的な問題も絡むため、遺言を残すことで争いを回避しやすくなります。

③ 前妻の子供と後妻の子供がいる場合

前妻の子供と後妻の子供がともに相続人となる場合、遺言で相続財産の分配方法を定めることで、争いを未然に防ぐことができます。遺言書を作成しておくことで、円満な相続手続きが期待できます。

④ 相続人以外に財産を残したい場合

法律上相続人とならない内縁の妻や、嫁にも相続権がない場合、遺言書を作成することで、希望通りの相続を実現できます。例えば、老後の面倒を見てくれた人にも特別寄与料の請求を認める新しい制度が設けられています。

⑤ 特定の相続人に法定相続分とは異なる割合で相続させたい場合

介護をした相続人としなかった相続人との間で、遺産分割に関する紛争が発生することがあります。遺言によって介護に対する寄与分を考慮することで、遺産分配に関するトラブルを未然に防ぐことができます。

⑥ 相続人が全くいない場合

相続人が存在しない場合、遺産は最終的に国庫に帰属します。しかし、友人や世話をしてくれた人に財産を残したい場合は、遺言によって希望通りの相続を行うことができます。寄付を行いたい場合も同様です。