不動産所得と損益通算について

不動産を所有し運用する際に、収益が思うように上がらず、損失が発生することがあります。こうした場合、所得税の計算時に、その損失を他の所得と相殺できる「損益通算」という制度があります。今回は、この損益通算について詳しく解説します。

損益通算とは?

個人が所得税を計算する際に、不動産所得が赤字になった場合、その損失を他の所得(給与所得、事業所得、山林所得、譲渡所得など)と相殺することができる制度を「損益通算」といいます。不動産所得に限らず、これらの所得の中で損失が生じた場合、その損失を他の所得と通算して、課税対象となる所得金額を減らすことが可能です。

不動産所得の損益通算に関する規制

不動産所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算されますが、経費が収入を上回ることで赤字が発生することがあります。この場合、その赤字部分を他の所得と損益通算することが可能です。しかし、損益通算にはいくつかの規制があります。

例えば、土地を取得するための借入金利子については、損益通算できる場合とできない場合があります。

  1. 不動産所得の損失金額が借入金利子より少ない場合
    この場合、不動産所得の損失金額と借入金利子との差額は損益通算の対象となります。
  2. 不動産所得の損失金額が借入金利子より多い場合
    この場合、全額が損益通算の対象外となります。

借入金の区分について

土地と建物を一括して借入金により取得した場合、土地と建物に対応する借入金が区分されていないことがあります。このような場合、建物取得に係る借入金の利子は全額が損益通算の対象となります。したがって、まず借入金を建物代金に充当し、残りを土地代金に充当することが認められています。


このような形で、損益通算を上手に活用し、税負担を軽減することができます。不動産投資においては、正確な計算と適切な対応が求められますので、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。