建築基準法における日影規制について

日影規制の概要

日影規制とは、建築物が周囲の住宅の日照を確保するために設けられた規制です。特に、都市部における住宅の日照を確保するために、日影規制の対象区域が定められています。この区域内では、冬至日を基準にして、一定時間以上の日影が生じないように建築物の高さが制限されます。

日影規制の対象区域と建築物

日影規制の対象区域と建築物は、地方公共団体の条例によって指定されます。この指定は、その地域の気候、風土、土地利用の状況などを考慮して行われます。ただし、特定行政庁が土地の状況などにより周囲の居住環境を害する恐れがないと認めて建築審査会の同意を得た場合には、例外が認められることもあります。

用途地域別の日影規制対象建築物

日影規制は、建築物の用途地域によって異なります。以下に主な用途地域とその対象建築物を示します。

適用区域と対象建築物

  • 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域
    • 軒の高さが7mを超える建築物
    • 地階を除く階数が3以上の建築物
    • 高さが10mを超える建築物
  • 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域
    • 高さが10mを超える建築物
  • 用途地域の指定のない区域
    • 軒の高さが7mを超える建築物
    • 地階を除く階数が3以上の建築物
    • 高さが10mを超える建築物

特別なケースにおける日影規制

  1. 複数の建築物がある場合
    • 同一の敷地内に2以上の建築物がある場合、これらの建築物を1つの建築物とみなして日影規制が適用されます。
  2. 道路や河川に近接する場合
    • 建築物の敷地が道路、河川などに接する場合、特別な事情がある場合には一定の緩和措置が認められることがあります。
  3. 対象区域外における制限
    • 対象区域外(例えば商業地域など)でも、高さが10mを超える建築物で、冬至日において対象区域内に日影を生じる場合には、その建築物も制限を受けることがあります。

日影規制は、都市部の快適な住環境を維持するために重要な役割を果たしています。建築計画の際には、この規制を十分に理解し、適切に対応することが求められます。