営業担当者の裏側—数字に追われる実態

不動産の売却相談に訪れると、担当者は熱心に話を聞いてくれ、親身にアプローチしてきます。「地元だからこそ、豊富な売却実績があり、お客様も多い」とのアピールや、「今が売り時です。タイミングを逃さずに早めに売りましょう」との提案などが続きます。その情熱的な態度に感銘し、「この担当者にお願いしよう」と思い至る方も多いことでしょう。

しかし、その前に一度立ち止まりましょう。営業担当者が本当にあなたのために尽力してくれるのでしょうか。熱心で前向きな姿勢は良いことですが、それとあなたの住宅が高く売れるかどうかは別の問題です。実際、担当者があなたを説得するのは、単に数字(実績)を求めているだけかもしれません。

不動産会社の営業担当者の給与は、通常、固定給に歩合給が加わる形であり、成績によって収入が変動します。中には完全な歩合給の担当者もいます。その歩合給は仲介手数料の一部で、例えば3000万円の物件を仲介して約90万円の手数料を得た場合、15%の3万5000円が報酬として支給されます。

したがって、担当者の興味は仲介手数料を増やすことにあります。しかし、驚くべきことに、物件を高く売っても担当者の報酬はほとんど増えません。相場価格が3000万円で、3200万円での売却に成功しても、手数料は6万円増加するだけです。営業担当者の報酬も、歩合給が5%なら9000円の増加に過ぎません。

したがって、「1円でも高く売りたい」よりも、「1円でも安くして早く売りたい」が営業担当者の本音かもしれません。彼らは取引ごとにじっくりと時間を費やすよりも、多くの取引をこなす方が楽で収益性が高いと考えています。不動産業界全体でこの傾向は見られます。

これから住宅を売却しようとする際には、この業界の仕組みや担当者の本音を理解し、信頼できる不動産仲介会社と担当者を見つけることが重要です。そして、担当者との協力のもと、積極的な販売活動を展開する一方で、しっかりとコントロールすることが求められます。そうでなければ、熱心で印象の良い担当者に利用される可能性があります。