不動産賃貸業務と所得税に関する注意点

不動産賃貸業務は、主に「入居者管理」と「建物管理」の2つに大別されます。特に、入居者管理はその範囲が広く、年々その専門性が増しています。賃貸経営においては、収益を重視して自主管理を選択するのか、管理の煩雑さを軽減するために委託管理を選ぶのかを決める必要があります。主な運営管理業務は次のようになります。

  1. 賃貸条件の設定
    不動産鑑定評価基準では、賃料には「新規賃料」と「継続賃料」があります。新規賃料については、積算法、賃貸事例比較法、収益分析法があり、これらを比較し検討します。継続賃料は、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法を用いて決定します。最終的な賃料設定では、収益性と入居率を考慮し、近隣の類似物件の賃貸条件も参考にします。
  2. 入居者募集
    借主に紹介する物件は、物的・法的に安全であり、権利関係が明確でなければなりません。建物の状況、抵当権や差押えの有無、環境問題、火災などの心理的瑕疵の有無を事前に確認し、適切な図面や情報を準備します。
  3. 入居者の選定
    入居者の選定は、借主の長期的な支払い能力やトラブルを起こさないかどうかを判断することが重要です。申込人や保証人の調査、信用調査などを行います。
  4. 契約の締結
    賃貸借契約書や重要事項説明書を用意します。特に修繕費の負担部分や退去時の原状回復などのトラブルの原因になり得る部分は明確にします。
  5. 賃料徴収
    賃料や管理費の支払いを確認し、未納がある場合は迅速に対応します。家賃保証会社の保証を受けていない場合は、連帯保証人への督促が必要です。
  6. 契約更新
    普通借家契約では「契約更新」が基本です。更新料の受け渡しがある場合は契約時に明確にします。
  7. 退去時の対応
    退去時には、双方立会いの下、貸室の点検を行い、修繕箇所や費用の負担区分を確定します。
  8. トラブル対応
    入居者からのクレーム対応には迅速な対応が求められます。生活騒音やペット飼育に関するクレームなど、入居時にルールを徹底することが重要です。
  9. 建物維持管理
    建物の構造や設備について、法定点検や設備修繕などを適切に行います。また、清掃業務や共用部分の管理、駐車場の管理など、建物の美観と機能を維持するための業務も行います。
  10. その他
    賃料改定や原状変更工事などの対応も必要です。

不動産賃貸業務では、これらの業務を適切に管理し、収益の最大化とトラブルの最小化を図ることが重要です。