建築基準法における複数建築物の制限特例について

建築基準法には、一定の条件下で複数の建築物に対する制限を緩和する特例が存在します。今回は、その中でも特に「一団地の総合的設計制度」と「連担建築物設計制度」について解説します。

一団地の総合的設計制度

一団地の土地において、複数の建築物を総合的な設計で建築する場合に適用される制度です。特定行政庁が安全面、防火面、衛生面で問題がないと認定した場合、その一団地を一つの敷地とみなし、建築基準法の特定の規定(接道義務、容積率制限、斜線制限、日影規制など)を適用します。

この制度により、より自由な設計が可能となり、土地の有効活用が図れます。

連担建築物設計制度(既存建築物の存在が前提)

連担建築物設計制度は、一団の土地の区域内において、既存の建築物を前提とした合理的な設計によって新たな建築物を建築する場合に適用されます。特定行政庁が安全面、防火面、衛生面で問題がないと認定した場合、それら複数の建築物を同一敷地内にあるものとみなし、建築基準法の特定の規定を適用します。

連担建築物設計制度の具体例

例えば、商業地域内にある幅員20mの道路に接する敷地と幅員4mの道路に接する敷地を考えます。それぞれ単独で見ると、幅員20mの道路に接する敷地の容積率は400%ですが、幅員4mの道路に接する敷地の容積率は240%(=4×6/10)に制限されます。

ここで、これら二つの敷地を一体の敷地とみなすことで、幅員20mの道路に接していることになり、一体とした敷地全体が容積率400%となります。このように、連担建築物設計制度を利用することで、敷地の有効活用が促進されます。