建物の区分所有に関する法律:管理と管理組合

1. 管理組合と管理者

区分所有者は全員で、建物や敷地、附属施設を管理する団体「管理組合」を構成します。区分所有者は全員自動的に管理組合の構成員となり、参加を拒否したり、途中で脱退することは認められません。管理は、区分所有法に従い、集会を開き、規約を定め、管理者を選任することで行われます。管理会社は、管理組合から委託されて管理業務の一部を担うだけです。

2. 管理費等の負担義務

  1. 管理費の負担 敷地や共用部分の管理費や修繕積立金は区分所有者が負担し、専有部分の賃借人には支払義務はありません。しかし、賃貸借契約によっては賃借人が共益費として管理費を負担する場合もあります。専有部分が共有の場合、管理組合は共有者のいずれに対しても全額を請求することができます。
  2. 管理費等の未払い 中古マンションの売買において、前所有者が管理費や修繕積立金を未払いだった場合、その債務は新所有者に引き継がれます。これは区分所有法に基づく規定ですが、前所有者が所有権を失ったからといって債務が免除されるわけではありません。管理組合は前所有者または新所有者のどちらに対しても支払いを請求でき、一方が支払えば債務は消滅します。
  3. 未払管理費等の回収 未払管理費等の回収手段としては、支払督促、少額訴訟、通常訴訟があります。支払督促は債権者の申し立てに基づき、裁判所書記官が債務者に支払いを督促するものです。管理費等の請求権は、権利行使が可能であると知った時から5年間行使しないと時効により消滅します。
  4. 専用使用権の承継 区分所有権が譲渡された場合、元所有者が管理組合から借りていた駐車場の使用権が新所有者に引き継がれるかどうかは、管理規約の定めによります。区分所有法上は自動的に承継されません。
  5. 譲渡と修繕積立金 区分所有権が譲渡された場合、修繕積立金の持分は新所有者に引き継がれ、元所有者は修繕積立金の払戻請求はできません。

3. 管理組合の法人化

区分所有者の団体は、特別決議により法人化(管理組合法人)することができます。管理組合法人には理事と監事を設置しなければなりません。

  1. 法人化のメリット
    • 区分所有者の財産と管理組合の財産を明確に区分できる。
    • 契約行為や不動産の所有権登記が管理組合法人の名義で行えるようになる。
    • 監事による財産状態や業務執行の監査により、区分所有者に対して明瞭な運営が図れる。
  2. 法人化の要件
    • 区分所有者および議決権の4分の3以上の多数による特別決議で法人化を定める。
    • 名称と事務所を定める。
    • 設立登記を行う。

このように、区分所有法に基づく管理組合の運営や管理費の負担義務について理解することは、マンション生活において非常に重要です。管理組合を適切に運営することで、住環境を守り、資産価値を維持することができます。