建物状況調査について

建物状況調査とは?

建物状況調査は、既存住宅の基礎や外壁などに生じているひび割れや雨漏りなどの劣化や不具合を調査するものです。一般には「ホームインスペクション」とも呼ばれますが、宅地建物取引業法に規定される建物状況調査は、国土交通省が定める講習を修了した建築士が行う調査です。この調査は、既存住宅状況調査方法基準に基づいて実施されます。

1. 宅地建物取引業法で定める建物状況調査

建物状況調査の実施は任意で、売主が依頼する場合や、購入希望者が売主の承諾を得て依頼する場合があります。この調査を行うことができるのは、国土交通大臣が定める「既存住宅状況調査技術者講習」を修了した建築士です。

調査の対象となる住宅は、人が居住する住宅、または建設工事完了から1年を経過した住宅です。一戸建て住宅のほか、マンションやアパートなどの共同住宅も含まれますが、店舗や事務所は対象外です。ただし、店舗併用住宅の場合は、住宅部分(店舗部分との共用部分を含む)が調査の対象となります。

調査は目視を中心とした非破壊調査で行われ、基礎や柱などの構造耐力上重要な部分、外壁や屋根など雨水の浸入を防止する部分が対象です。ただし、給排水設備の劣化調査、建築図書との照合、現行の建築基準法違反の有無の判定は行われません。

2. 宅地建物取引業者による建物状況調査のあっせん

宅地建物取引業者は、建物状況調査が行われているか否かにかかわらず、媒介契約書に「建物状況調査を実施する者のあっせんの有無」を記載して依頼者に交付する必要があります。売主や購入希望者から建物状況調査の希望があり、あっせんが可能であれば、建物状況調査を実施する者の手配を行う必要があります。

3. 依頼者から見た建物状況調査

依頼者は既存住宅の売主や購入希望者です。建物状況調査を依頼するメリットは、調査時点での住宅の状況を把握し、売買等の取引に役立てることができる点です。これにより、取引後のトラブルを抑制できます。また、購入後に調査結果を参考にしてリフォームやメンテナンスを行うことができます。

依頼者は、あっせんを受けた場合でも、調査費用や内容を考慮して実施するかどうかを判断できます。あっせんは宅地建物取引業者の媒介業務の一環であり、依頼者があっせんを受けたことによる追加の報酬を負担することはありません。

4. 重要事項説明

宅地建物取引業者は、既存建物の重要事項説明において、当該物件が建物状況調査を実施しているかどうか(調査の実施から1年を経過していないものに限る)、実施している場合の調査結果の概要、設計図書などの保存状況(売買・交換のみ)を説明しなければなりません。

5. 37条書面への記載

宅地建物取引業者は、既存住宅について建物状況調査など専門的な第三者による調査の結果の概要が重要事項として説明された上で契約が締結された場合、37条書面に「当事者の双方が確認した事項」を記載しなければなりません。当該事項が無い場合は、「確認した事項が無い」旨を記載して37条書面として交付しなければなりません。


建物状況調査は、住宅の現状を把握し、安全で安心な取引を行うための重要なステップです。売買の際には、適切な調査と説明を行い、トラブルのない取引を目指しましょう。