不動産の売買契約における「融資利用の特約(ローン特約)」について
不動産の売買契約において、重要なポイントとなるのが「融資利用の特約(ローン特約)」です。この特約は、買主が融資を利用して残代金を支払おうとする場合に、融資が不成立となり残代金を準備できなくなった際に備えて設けられるものです。
融資利用の特約(ローン特約)とは?
不動産の売買契約において、買主は物件の引き渡しと引き換えに売買代金全額を支払う義務があります。多くの場合、買主は銀行等からの融資を利用してその代金を準備しますが、もし融資が不成立となった場合、買主は残代金を支払えず、債務不履行となり損害賠償責任を負うことになります。このようなリスクを回避するために、売買契約には「融資利用の特約(ローン特約)」が設けられています。これにより、融資が不成立の場合には買主は売買契約を白紙撤回することができるのです。
売買契約書における融資利用の特約の記載例
markdownコードをコピーする第○条
(融資利用の特約)
買主は売買代金の一部に標記の融資金を利用する場合、本契約締結後速やかにその融資の申込手続をしなければならない。
2. 前項の融資が否認された場合、買主は標記の期日内であれば本契約を解除することができる。この場合には、売主は買主に受領済みの金員を無利息にて速やかに返還しなければならない。
3. 融資を受けることについて客観的な障害がないにもかかわらず、買主の随意の判断で融資を受けなかった場合には、本特約を適用しない。
融資利用の特約(ローン特約)の種類
融資利用の特約には、大きく分けて「解除権留保型」と「解除条件型」の二種類があります。
- 解除権留保型
解除権留保型は、融資が否認された場合に、指定期日までの間は買主が契約解除をすることができる特約です。自動的に契約が解除されるわけではなく、買主が解除権を行使しないまま指定期日を過ぎると、契約は継続し、買主は別途資金調達をしなければなりません。前述の記載例における特約は、解除権留保型に該当します。 - 解除条件型
解除条件型では、融資が否認されたことをもって解除条件が成就し、その時点で自動的に契約が失効します。このタイプの特約では、融資が否認された場合に買主が何らかの行動を取る必要はありません。
不動産の売買契約において、買主が安心して契約を進めるためには、この「融資利用の特約(ローン特約)」の理解と適用が非常に重要です。契約締結前には、しっかりと内容を確認し、自身の状況に適した特約を設けることをお勧めします。