不動産の売買契約に関する重要ポイント

不動産売買契約においては、当事者のどちらかが債務を履行しない場合、損害賠償請求や契約の解除が可能です。具体的には以下のようなケースがあります。

債務不履行と損害賠償

  1. 履行遅滞
    履行遅滞とは、売主が契約で定められた期日に物件を引き渡せない場合を指します。この場合、買主は一定期間を設けて履行を催告し、その期間内に履行がなければ契約を解除できます。また、売主が登記に協力しない場合も履行遅滞に該当しますが、買主が代金を支払わないことは買主の債務不履行には当たりません。
  2. 履行不能
    履行不能とは、契約後に物件の引渡しが不可能になるケースです。例えば、物件が火災で焼失した場合などです。この場合、相手方は即座に契約を解除する権利を持ちます。
  3. 損害賠償額および違約金
    債務不履行により契約を解除した場合、損害賠償を請求することができます。損害賠償額は債務不履行と因果関係のある損害に限られ、その立証は請求者側の責任となります。また、自然災害など不可抗力による不履行の場合は損害賠償責任を免れることがあります。

実務における違約金

一般的な実務では、違約金を契約に明記しておくことが推奨されます。違約金は損害賠償額の予定とみなされ、実際の損害額にかかわらず請求可能です。ただし、売主が宅地建物取引業者である場合、損害賠償額の予定や違約金は売買代金の2割までに制限されています。これを超える額は無効とされます。

契約書記載例

以下は売買契約書における契約違反による解除と違約金の記載例です。


第○条 (契約違反による解除)
売主または買主のいずれかが本契約に基づく義務を履行しないときは、その相手方は、不履行した者に対して催告の上本契約を解除し、違約金として売買代金の20%相当額を請求することができる。


このように、契約書には明確な条項を設けることで、万が一のトラブルに備えることが重要です。不動産取引は高額な取引であるため、契約内容を十分に確認し、理解した上で進めることが求められます。