現物不動産投資:収支計算と不動産所得金額の計算


1. 収支計算

収支計算とは、1年間の収入と、発生した経費を確認するプロセスです。この計算は、年度の会計状況を把握するだけでなく、今後の事業運営を計画するためにも不可欠です。具体的には、総収入から「実際に支出する必要経費」「借入金元金返済額」、不動産所得がプラスになる際の「税額」を差し引いて剰余金を計算します。

剰余金=総収入金額−実際に支出する必要経費−借入金元金返済額−税額\text{剰余金} = \text{総収入金額} - \text{実際に支出する必要経費} - \text{借入金元金返済額} - \text{税額}剰余金=総収入金額−実際に支出する必要経費−借入金元金返済額−税額

2. 収支計算と不動産所得金額

個人が現物不動産投資で得た賃料収入等は、「不動産所得」として扱われ、所得税・住民税が課されます。たとえ不動産の貸付が事業的規模であっても、不動産所得として計上され、さらに事業税も課されます。不動産所得は、他の事業所得や給与所得と合算され、合計所得金額となります。この際、不動産所得に損失が発生した場合、他の所得の黒字と損益通算が可能です。しかし、必要経費の中に「土地の取得に関する借入金の利子」が含まれる場合、他の所得との損益通算は制限されます。

「収支計算」は現金主義を基にして「収支 = 収入 - 支出」で計算されますが、不動産所得金額の計算では発生主義を基に「所得 = 総収入金額 - 必要経費(減価償却費を含む)」で計算されます。

減価償却費は「支出と連動しない費用」であるため、所得金額の計算には計上される一方、収支計算には含まれません。逆に、借入金元金返済額や所得税・住民税は「費用とならない支出」であるため、収支計算のみに計上されます。

不動産所得金額(経常損益)=総収入金額−必要経費(減価償却費を含む)\text{不動産所得金額(経常損益)} = \text{総収入金額} - \text{必要経費(減価償却費を含む)}不動産所得金額(経常損益)=総収入金額−必要経費(減価償却費を含む)