不動産の賃貸借契約の成立と効力
不動産の賃貸借契約は、賃貸人が賃借人に土地や建物の使用・収益を許可し、賃借人がその代償として賃料を支払い、契約終了時には借り受けた土地や建物を返還することを約束することで成立します。これは有償契約であり、使用貸借とは異なります。
賃貸借契約の成立により、賃借人が得る権利を賃借権と呼びます。この契約時に授受される金銭は以下の通りです:
- 権利金
- 店舗などの賃貸借契約締結時に支払われる金銭で、契約終了時に返還されない場合があります。権利金は賃料の前払いや場所的利益の対価、賃借権の譲渡性を付与する対価などの性格を持ちます。
- 敷金
- 賃料の不払いや建物の損傷などを担保するために支払われます。契約終了後に未払債務等を差し引いた残額が返還されます。敷金は賃料債権や賃借物返還に生じる損害金などを担保します。
- 更新料
- 特約がない限り支払義務はありませんが、更新料条項が具体的に記載されていて、合意が成立している場合には更新料の支払い義務が生じます。
賃貸借契約終了後、敷金の返還請求権は賃借物を返還することで初めて発生します。賃貸人は賃料不払などの債務不履行があった場合に、敷金を賃料に充当することができますが、賃借人から敷金を賃料に充当するように請求することはできません。また、敷金の充当は賃貸人の自由であり、賃料不払があっても必ずしも充当されるわけではありません。