住み替え時の注意点

住み替えを考える際に特に留意すべき点があります。その一つが、新しく組む住宅ローンの返済期間です。例えば、住み替え時点で30歳の場合、35年の住宅ローンを組むことができ、現在の低金利も加わって、おそらく希望する額の融資を受けることができるでしょう。しかし、28歳で住み替えを考える場合は、そこから5年のローンを組むことは危険です。制度上は45歳未満の人なら35年ローンを組むことは可能ですが、80歳まで毎月返済することになります。

ゆとりある老後を迎えるためにも、遅くとも55歳までには返済を終えるよう返済期間を短く設定することが大切です。また、老後の生活に備えて、子育て用に買った広い戸建てを売却し、コンパクトな住まいへの移り替えを検討する場合、特に資金面での注意が必要です。郊外にある戸建てが予想より安い価格でしか売れなかった場合、売却資金だけでは駅近のマンションを購入する際の資金不足が考えられます。

金融機関の住宅ローンは通常70歳までに申し込むことが基準とされていますが、実際には年金暮らしの高齢者に融資してくれる金融機関は限られています(フラット35を除く)。現実的には、今の家が高く売却できる見込みがあるか、または多額の現金を持っている場合でなければ、老後の住み替えを実現することは難しいでしょう。

そのため、今の家がどれだけの価値があるかを正確に把握することが非常に重要です。買い先行で焦り、結果的に安く売却せざるを得なくなると、老後の生活設計が狂ってしまいます。ですので、まずは結果的に仮住まいになることも視野に入れ、できるだけ高値で売却できるよう努力することが重要です。