建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)

義務違反者に対する措置

区分所有者には、建物の保存に有害な行為や共同の利益に反する行為を行わない義務があります。その義務に違反した場合には、以下のような対応措置が定められています。

1. 行為停止等の請求

違反行為を行ったり、その恐れがある区分所有者がいる場合、他の区分所有者は共同の利益を守るために、その行為の停止や予防を請求することができます。また、賃借人など専有部分の占有者に対しても同様の請求が可能です。ただし、専有部分の占有者から他の専有部分の区分所有者や占有者に対する行為停止等の請求はできません。

2. 区分所有者に対する専有部分使用禁止の請求

共同生活に重大な障害が生じ、行為停止等の請求だけでは解決が難しい場合には、集会の決議を経て、裁判によって違反行為を行う区分所有者に対して、一定期間専有部分の使用禁止を請求することができます。

3. 区分所有権の競売請求

共同生活に非常に大きな障害が生じ、使用禁止の請求等だけでは解決が困難な場合には、集会の決議を経て、裁判によって違反行為を行う区分所有者の建物や土地に関する権利を強制的に競売することができます。

4. 占有者に対する専有部分の引渡し請求

共同生活に重大な障害が生じ、行為停止の請求等だけでは解決が難しい場合には、集会の決議を経て、裁判によって違反行為を行う占有者(賃借人等)に対して専有部分の引き渡しを請求することができます。

区分所有法は、区分所有者の権利と義務を明確にし、共同生活の秩序を保つための重要な法律です。違反者に対する適切な措置を講じることで、建物全体の安全と安心を確保することができます。