中古住宅の市場は拡大している
中古住宅の市場は広がっています。その中で、空き家問題と密接に関連するのが中古住宅市場の状況です。日本の住宅市場では、新築住宅が圧倒的に多くを占め、その割合は住宅全体の8割強となっています。対照的に欧米では、新築住宅が1、2割で中古住宅が8、9割を占め、中古住宅の取引が盛んです。
これには中古住宅の資産価値の違いが影響しています。欧米では中古住宅の価値が認められているのに対し、日本では中古住宅の価値が非常に低く見られる傾向があります。例えば、日本では木造住宅が築20年で価格がほぼゼロになり、マンションも築25年を超えると流通性が著しく低下し、売りにくくなります。
しかし、こうした状況も変化しつつあります。政府が「つくっては壊す」から「いいものをつくり、きちんと手入れして、長く使う」ストック型の社会へと転換を図るため、住宅政策を大幅に転換しています。具体的な取り組みとしては、「瑕疵保険」や「住宅履歴」の整備、そして「インスペクション」の普及、さらには「長期優良住宅化リフォーム」の推進などが挙げられます。これらの政策が浸透する中、中古住宅に対する消費者の見方も変化しています。
「空き家対策」もその一環であり、これらの施策の影響により、中古住宅に対する消費者の意識が変わりました。以前は「せっかく家を買うのに中古はちょっと・・・」という人が多かったですが、最近では低価格な中古住宅を積極的に検討する人が増えています。実際、データによれば中古住宅の取引は拡大しており、特に築28~33年の物件の流通割合が10年間で明らかに増加しています。
将来的には、この傾向が一層定着し、中古住宅市場が一定の地位を確立することが予想されます。そのため、今後家を売却する際には、「中古の戸建てだから建物価格はつかないだろう」「中古マンションだから人気がないはずだ」といった心配は過度にしなくても良いでしょう。