賃貸契約における義務と責任

1. 賃貸人の義務

1-1. 使用・収益させる義務
賃貸人は、賃借人が契約の趣旨に従って物件を使用・収益できるようにする義務を負います。

1-2. 目的物の修繕義務
賃貸人は、賃借人の使用・収益のために必要な修繕を行う義務があります。ただし、修繕すべき原因が賃借人にある場合は、賃貸人の責任ではありません。

1-3. 費用償還義務

  • 必要費: 雨漏り修繕など、使用・収益のために必要な費用を指します。賃借人が賃貸人の負担すべき必要費を支出した場合は、直ちに償還を請求できます。
  • 有益費: 下水道設備の設置など、物件の改良に支出した費用を指します。賃借人が有益費を支出し、かつその効果が契約終了時に残存している場合に償還の請求が認められます。

2. 賃借人の義務

2-1. 賃料の支払義務
賃借人は、物件の使用・収益の対価として、賃料の支払い義務があります。一定のケースでは、賃料の供託が認められます。支払時期は契約により後払いまたは前払いとなります。

2-2. 原状回復義務
賃借人は、契約終了時に物件を契約開始時の状態に復し、賃貸人に返還する義務があります。通常の劣化や損耗は原状回復の対象外ですが、賃借人の不注意による損傷や無断での設備取り付けに関連する費用は負担しなければなりません。

以上が、賃貸契約における双方の義務と責任です。ご理解いただければ幸いです。