築古物件の注目される背景について

1. 新設住宅着工数の減少

築古物件が注目される背景の一つは、新築住宅の着工数が減少していることです。過去数十年間、新築住宅の着工数は減少の一途をたどっています。ピーク時の新築住宅着工数は平成2年に約170万7千戸でしたが、令和1年には約90万5千戸にまで減少しました。これは、人口減少時代の到来や将来的には50万~60万戸程度にまで減少すると予測されていることを示唆しています。

2. 既存住宅ストックの増加

同時に、既存住宅の数は増加しています。昭和62年平成2年に建設された住宅は現在、築30年以上経過しており、平成3年9年に建設された住宅も築20年以上が経過しています。最新の住宅・土地統計調査によれば、約1,600万戸が15年以内に建設された住宅であり、これは全国の住宅総数の約25.6%に過ぎません。つまり、全国の住宅の約4分の3は15年以上の経過を持つ築古物件であり、既存の住宅ストックは非常に大きいことが分かります。

3. 新築から既存への転換

新築住宅の着工数が減少傾向にある一方で、既存住宅の数が増加しているため、不動産産業は新築から既存物件に焦点を移す傾向にあります。築古物件は、新築住宅よりも多くの改善やリノベーションの機会を提供し、今後は不動産に関するコンサルティングや再生プロジェクトが重要な役割を果たすことが期待されています。これは住宅市場に限らず、商業施設、オフィス、工場、倉庫など、あらゆる不動産分野に適用される傾向です。

築古物件の注目は、不動産業界における新たな展望と機会を生み出しており、築古物件の価値と魅力が再評価されていると言えます。