建物に関する権利

建物に関する権利には、所有権と借家権(賃借権)があります。それぞれ以下のような特徴があります。

所有権 建物の所有権は、土地の所有権と同様に、法令の範囲内で自由に使用・収益・処分する権利を持ちます。所有権には、一棟の建物全体を所有する単独所有権と、分譲マンションの専有部分など一部を所有する区分所有権があります。これらの所有形態は、単独所有または共同所有の形態をとることがあります。区分所有権に関しては、「建物の区分所有等に関する法律」が民法の特例として定められています。

借家権(賃借権) 借家権は建物の賃借権を指します。賃借借地借家法や借地法(旧法)によって保護される建物の賃借権は、使用貸借や一時使用を目的とした賃貸借以外にも存在します。

担保物権 担保物権は、債権者が債務の履行を確実なものにするために設定する権利です。質権、留置権、抵当権(根抵当権を含む)などがあります。

質権 質権は、債権者が債務の担保として物を占有し、弁済がなされない場合に優先的に弁済を受ける権利です。動産質、不動産質、権利質などの形態があります。

留置権 留置権は、特定の物について手元に置く権利であり、賃借建物の修理代金などの支払いを受けるまで賃借借主が返還を拒むことができます。

抵当権 抵当権は、不動産などが提供された場合に担保される権利で、優先的に弁済を受けることができます。不動産、地上権、永小作権などが抵当権の目的物となります。

これらの権利は、物権として特定の物に対する権利を保障し、優先的効力を持ちます。同じ物に複数の権利が存在する場合には、それぞれの権利の性質や順位が考慮されます。